群馬大学 理工学部 電子・機械類 知能制御プログラム
大学院理工学府 電子情報・数理教育領域
理論計算及びナノ微細加工技術を用いて超微細ナノ構造の形成、電子デバイスの作製及び計測に関する研究を行っています。
研究:理論計算及びナノ微細加工技術による電子デバイスの作製、計測とそのバイオセンシングへの応用
研究室のキーワードNanoというのは、ナノ微細加工技術を用いてSi基板またはSOI(Silicon on insulator)基板の上に微細なナノ構造の作製を行い、ナノ計測手法を用いて作製したナノ構造を評価し、その特性や応用を探究することを指します。ナノテクノロジーは、エレクトロニクス、バイオテクノロジー、医療、環境モニタリングなどの様々な分野の基盤技術です。Nano技術の発展により、従来不可能とされていた高性能なデバイスやセンサーの実現が可能となり、これらの技術は現代社会における様々な課題の解決に貢献できます。 Nanoというキーワードを聞くと、幅広く分野を跨いで研究しているという印象を抱くかと思いますが、実際はそのごく一部の領域について研究を行っております。また、新規研究室であることから研究課題が単一である現状ですが、これから視野を広げ、研究課題を少しずつ展開していきたいと考えています。
「Nano」の "o" はSiウェハで作製された集積回路チップのイメージ図を示しています。
研究室のキーワードBioというのは、作製した電子デバイスを使用してバイオセンシングを行うことを指します。新型コロナウイルスの感染抑制が世界的課題となる中、PCR検査より短時間、抗原抗体検査より精度の高い検査法が渇望されています。本研究室では、検体に含まれる極微量の生体物質を迅速、高感度で検出するバイオセンサの研究開発に取り組んでいます。ナノ微細加工技術を用いてSiナノワイヤを作製し、計算科学との連携でセンサ構造、電気特性、表面状態を最適化し、特定の物質を迅速・高感度に検出できるようにチャレンジしています。将来は、医療現場で1回の検体溶液の採取で複数の生体物質を同時に検出できる計測システムの開発を目指しています。
「Bio」の "o" は、作製したSiナノワイヤセンサの中心部に反応チューブを設置した後、溶液中でセンシングしているイメージを表しています。
「研究室の設備」のページも併せてご覧ください。
ナノ電子デバイスは、ナノテクノロジーの応用分野の一つであり、ナノスケールの構造や材料を使用して構築される電子デバイスを指します(1 nm=10^-9 m)。 本研究のキーワードでもあるシリコンナノワイヤ (SiNW) バイオセンサは、Si on insulator(SOI=絶縁膜の上にシリコン単結晶を形成した構造)基板の表面Si層をナノ微細加工技術でナノワイヤ化して、電極の間にSiNWをチャネルとするトランジスタ構造です。修飾したSiNW表面に検出対象の生体分子が付着すると、生体分子の微量電荷とSiNW内部のキャリアが薄い絶縁膜と空乏層を挟んで静電的に相互作用し、空乏層の厚みが変化することでバイオセンサの電流変化として検出されます。
本研究室では、基板への不純物拡散から、電極作製、ナノワイヤ作製、 デバイスのパッケージ化まで全部自前で行っています。
本研究室では、電子線リソグラフィ、フォトリソグラフィ、スパッタリング、反応性イオンエッチングなどの半導体加工装置を使用して、ナノ構造や電子デバイスの製造を行っています。また、走査電子顕微鏡、原子力顕微鏡、プローブ段差計、x線光電子分光(XPS)などの計測装置を利用し、ナノ構造の形態観察や評価を行っています。さらに、微小電流測定装置を使用して、作製したデバイスの電気特性を詳細に測定しています。これらの加工技術と計測手法を組み合わせることで、ナノスケールの構造やデバイスの性能を評価し、先端的な電子デバイスの創製を目指しています。
電子のモンテカルロ輸送計算をはじめとする計算物理の手法を用いて、超微細ナノ構造の作製およびナノデバイスの作製に取り組んでいます。高感度なSiNWバイオセンサの開発では、有限要素解析法を用いて異なるSiNW構造における生体分子付着前後の電流・抵抗変化率を計算することで、最適なSiNWセンサの構造を予測します。
出身: 中国安徽省
現職:
群馬大学大学院理工学府 電子情報部門 助教
創発研究支援事業 創発研究者 兼任
早稲田大学 アンビエントロニクス研究所 招聘研究員 兼任
学位:
2013年3月 群馬大学(工学)博士学位取得
論文題目「電子線描画法を用いたナノドット列形成のモンテカルロシミュレーション」
略歴:
2013年4月 ~2016年3月 群馬大学 ポスドク研究員
2016年10月~2017年3月 早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 次席研究員
2017年4月 ~2019年3月 日本学術振興会 外国人特別研究員
2019年4月 ~ 群馬大学大学院理工学府電子情報部門 助教
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(2024年4月現在)
毎週金曜日の午後、曾根研との合同ゼミを開催しています。ゼミでは、1週間の研究内容を報告したり、実験方法や課題について議論したりします。こうした中で、研究手法や原理について知見が深まることもしばしばあります。また、ゼミの中では研究メンバー同士が意見交換を行い、新たなアイデアやアプローチを共有することができます。研究室内のコミュニケーションと連携を深める貴重な機会であり、研究の進展に不可欠な要素です。
同じく毎週金曜日、ゼミの研究進捗発表の後に続けて行っています (研究室の繁忙期をのぞく。前期4~6月、後期10~12月に開催)。
具体的には、(1) 単語・英作文問題、(2) 研究に関連した書籍の和訳と読解、(3) リスニング問題、(4) 与えられたテーマまたは自由なテーマによる会話、の構成で行っています。これらの活動を通じて、英語力の向上や研究に必要な知識の習得を図っています。Let's discuss!
不定期に行われます。新しいメンバーが加わった時や卒研や修論の発表が終わった時など、季節や行事の区切りで行っています。また、研究室内の係仕事としての「コンパ係」も存在します。次回は餃子大会?焼肉パーティー?どんなイベントが企画されているのか楽しみです。
写真は2023年10月の歓迎会(たこ焼きパーティー)→
毎年9月に開催される特別なイベントです。場所は自然に囲まれた群馬県国立青少年の家です。ゼミ合宿では、研究室メンバーが集まり、研究の進捗状況や課題について情報交換を行います。2日間にわたる合宿は、日常の研究活動では得られない密なコミュニケーションと交流の場となります。夜には皆で楽しく食事をし、リラックスした雰囲気の中でメンバー同士の絆を深めます。合宿後には、赤城山周辺での観光やグルメ巡りも楽しむことができます。
コロナの影響で4年間ゼミ合宿が中止されましたが、2023年9月に再開されたゼミ合宿では、久しぶりの再開にメンバーが大いに喜びました。合宿の期間中は、厳粛な研究議論からアクティビティや懇親会まで、活気にあふれた雰囲気の中で有意義な時間が過ごされました。→
当研究室では、私たちは素晴らしい成果を達成することを目指し、その成果を学会や国際会議で積極的に発表することを心から重視しています。発表を通じて、他の研究者からの貴重なフィードバックや新しい視点を得ることができ、これは学びの素晴らしい機会となります。
また、発表を経験することで、コミュニケーション能力やプレゼンテーションスキルが向上し、将来の研究活動や職業上の成功につながることが期待されます。さらに、発表後には地域の観光や美味しい料理の探求など、楽しい時間を過ごすこともできます。
(写真は2023年秋季応物@熊本)→
これら研究室行事についてもう少し知りたいな~って方は、「過去のニュースと写真」のページも併せてご覧になってください。
張研究室はチャレンジできる場所です。研究の失敗を恐れずチャレンジできる仲間、環境、設備があります。よく言われるように「失敗は成功のもと」にきっとなります。一緒に失敗とチャレンジを重ねて、成長していきましょう!
- 先輩O -
本研究室では沢山の装置を使っており、そこには3年生までの学生実験では使わないものも多くあります。
そのため、駆け出しの卒研生 (B4) にとっては装置の使い方や実験のやり方を覚えるだけで精一杯かもしれませんが、慣れてくれば後から少しずつ原理が分かるようになっていくと思います。まずは研究で用いる実験装置と仲良くなっていきましょう!
- 技術補佐員K -